間接輸出と直接輸出
輸出取引における販売チャネルについて説明します。
間接輸出と直接輸出があります。
間接輸出とは国内商社等を経由し、商品を国内で引き渡して完了しますので、国内取引の形を取ります。直接輸出とは、海外へ直接輸出するケースで以下のチャネルが考えられます。
1. エンドユーザーと直接契約し直接輸出する。
2. 輸出先の代理店を経由して輸出する。
3. 自社の海外組織(駐在事務所、支店、現地法人)を経由して輸出する。
表でまとめると下図の通りです。
間接輸出と直接輸出のメリットとデメリットをまとめると以下の通りです。
メリット | デメリット | |
間接輸出 | ①国内取引による貿易実務や外国語の知識不要 ➁円建取引による為替変動及び代金回収リスクの抑制 ③社内リソース不要 |
①海外の取引先との直接交渉回避よる価格、仕様及びデザイン等の決定困難性 ➁仲介者の手数料の発生 ③輸出ノウハウの蓄積不可 |
直接輸出 | ①海外の取引先との直接交渉による価格、仕様及びデザイン等の自由な決定可能 ➁ 仲介者の手数料不要 ③輸出ノウハウの蓄積可能 |
①貿易実務知識、外国語知識などの専門知識の必要性 ➁代金回収及び為替変動リスクの発生 ③社内リソースの必要性 |
自社内のリソースに限りがある場合は間接輸出から始めるのが良いでしょう。
現地代理店のメリット、デメリット
さて、中小企業が海外取引を始めるにあたり、海外のエンドユーザーへ直接販売してゆくには時間や費用がかかり、非常にハードルが高くなります。そこで、海外販路開拓の有効な方法の一つが販売パートナーとして現地に代理店を設定し、活用することです。販売パートナーは現地の顧客や商習慣を熟知していますので、市場や顧客情報を交換することによりスムーズに販路開拓を進めることができます。現地代理店を置く場合のメリット、デメリットを以下にまとめます。
メリット | デメリット |
①代理店の販路、人脈、ノウハウの活用
➁営業活動における資金と時間の抑制 ③複数の代理店起用による営業活動の拡大 |
①手数料支払による利益率低下
➁エンドユーザーの情報が入りにくい為、次の商品開発の困難性 ③販売に関するノウハウの蓄積不可 |
これらのメリット・デメリットを考慮し、代理店の活用について検討する必要があります
Distributorship Agreement とAgency Agreement
ご参考までに、日本では一般に「代理店」と表現されますが、「代理店」にはDistributorとAgentの2つの種類があります。「Distributor」とは日本から商品を買い付け、現地の顧客に販売する形態を取ります。一方で、「Agent」とは日本の業者が現地のエンドユーザーに販売する形態を取りますが、対価として販売手数料を受け取ります。また、それぞれ「代理店契約」と表現されますが、実際には 1)Distributorship Agreementと2)Agency Agreementの2つの形態があり、当事者間の権利義務が異なるため注意が必要です。まとめると次の通りです。
Distributorship Agreement | Agency Agreement | |
商品の値付け | 原則Distributor(輸入者)が行い、仕 入との差益が輸入者の収入源 | 値決めは売り主(輸出者)が行い、 Agentは手数料を受領 |
債権回収のリスク負担 | Distributorの負担 | 売り主の負担 |
商品の在庫 | Distributorが倉庫を設け在庫し、商品流通を実施 | 在庫用倉庫を設けず、顧客配送は 売り主の指示により実施 |
エンドユーザーへの契約責任 | Distributorの責任 | 売り主の責任 |
図示すると以下の通りです。
まとめ
海外取引において、どういう販売チャネルを使って販路開拓していくは非常に重要です。自社のリソース及び商品特性を考慮し決めていくことになります。将来的に海外取引を事業の柱として拡大していくお考えでしたら、現地に信頼できる販売パートナーを見つけるのが良いでしょう。
【参考文献】
日本政策金融公庫 海外展開支援お役立ち情報 海外展開支援|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)
東京商工会議所 海外ビジネスガイドブック 改正 海外ビジネス相談HPガイドブックPDF(ガイドブック).pdf
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